4月12日に金曜ロードSHOWで「風立ちぬ」が放送されますが、劇場や過去の放送で観た人も多いと思います。
ストーリーの中で「シベリア」というお菓子のような食べ物が出てきたのを覚えていますか?
「シベリア」のところが印象的なシーンの一つで、子供は受け取らなかった理由や本庄のセリフについて思うことがあった人も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、
- 「風立ちぬ」のシベリアのシーン
- 「風立ちぬ」のシベリアのシーンの意味
について書いていきます。
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目次
風立ちぬのシベリアのシーン
まずは、シベリアに関するシーンの概要を紹介します。
シベリアのシーンの概要
二郎が仕事の帰りにお店でシベリアを買うところから始まります。
夜の遅い時間にかかわらず、お店の近くで子供(姉弟)たちが親の帰り待っていました。
そこで二郎は、子供たちに買ったシベリアを分けようとすると、受け取ってもらえず子供たちは走り去ってしまいます。
二郎は帰ったあと、このことを本庄に話すと偽善と言われます。
二郎は、偽善と言われ一度は否定するが、そうかもしれないと答えます。
ここからは、シベリアのシーンを一つずつ見ていきましょう。
二郎からのシベリアを子供が受け取らなかった理由はなぜ?
二郎にシベリアを差し出された少女は、二郎の行為に自尊心を傷つけられたからと考えます。
二郎に「君たちひもじくない?これをお食べなさい」とシベリアを差し出された少女は、物乞いのような扱いをされたと感じたのだと思います。
少女からすると二郎の空気を読めなかった行為だったということになるのではないでしょうか。
本庄がシベリアをあげようとした二郎に偽善と言った理由はなぜ?
本庄が二郎に偽善と言った理由は本庄のセリフが答えではないでしょうか。
本庄は、
「腹を減らしてる子供ならこの横丁だけでも何十人もいる。隼の取り付け金具1個の金で、その娘の家なら、ひと月は暮らせるよ。」
と言っており、さらに
「貧乏な国が飛行機を持ちだがる。それで俺たちは飛行機を作れる。矛盾だ。」
と話しています。
自分たちの夢である飛行機は、国(軍)に依頼されて作っており、そのお金は税金から支払われています。
本来貧しい子供のために使うこともできるお金です。
飛行機は国民のためでもありますが、国民を貧しくもしている、という裏の背景もあり矛盾していると本庄が言ってるんですね。
つまり、本庄は子供のことを思うなら、飛行機を作るべきではないという意味で偽善と言ったと解釈できます。
風立ちぬでシベリアのシーンはどんな意味や必要性があったのかを解説
前述の本庄が二郎の行為を「偽善」と言っているところから、「矛盾」への話の流れになっています。
この会話は本庄と二郎の人間的な部分を表現する意味があったのではないかと考えます。
二郎は「なんで日本は貧しいのだろう」と口にしていました。
それ対して本庄に「今回の技術導入でユンカース社にどれほどの金を払うか知ってるか?」ということを言われます。
さらにシベリアを分けようとする二郎の(優しさでもあるが)空気を読めていない行為は二郎の性格的なものを表しています。
このことから、二郎の理想主義的なところと、飛行機の設計については天才的だけどそれ以外のところは無頓着に見えました。(無頓着なところは菜穂子との暮らしの中でもあったように思えました)
それに対して、本庄は会話の中で、
「日本中の子供達に天丼とシベリアを毎日食わせてもお釣りがくる金額だ。」
「それでも俺は与えられたチャンスを無駄にしないつもりだ。」
と言っていることから、飛行機を開発するための覚悟や背負っているものの重さを自覚していることを感じさせます。
あとは、時代背景的な部分も表現したかったのではないかと思いました。
おわりに
今回は、風立ちぬのシベリアのシーンや「偽善」の意味と子供が受け取らない理由についてまとめてみました。
シベリアを子供たちが受け取らなかった理由は、二郎の行為に自尊心を傷つけられたからです。
シベリアを分けようとする二郎の行為が偽善と言われたのは、自分たちの夢である飛行機開発のために子供たちがお腹を空かしてるからです。
このシーンは二郎と本庄の人物を浮き彫りにすることと時代背景を表現するためにあると考えています。
解釈になるので正解があるものではありませんが、わたしは必要なシーンだったのではないかと思いました。
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